タキメーター（クロノグラフ）
タキメーターベゼルは速度を計算するための目盛りを備えています。 1kmを走行した時間を計測すると、そのままベゼルの数値が「時速」として読み取れる仕組みです。
クロノグラフの秒針と組み合わせて使うため、モータースポーツや航空分野で重宝されました。 実用の場面は限られますが、クロノグラフの顔として象徴的なデザイン要素になっています。
ベゼル(bezel)とは
ベゼル（bezel）とは、腕時計の文字盤と風防を囲むリング状の外装部品のことを指します。 語源は古フランス語の「小さな突起」を意味する besel に由来すると言われ、宝飾分野でも石を固定する枠をベゼルと呼びます。
ベゼルは単なる装飾パーツではなく、文字盤を保護しつつ機能を追加する役割も担います。 ダイバーズウォッチの逆回転防止ベゼルやクロノグラフのタキメーターなど、用途に応じて多様な進化を遂げてきました。
ベゼルの種類について
腕時計のベゼルはモデルの個性を形作る重要な要素であり、用途ごとに多様な種類が存在します。 ここでは代表的なベゼルの仕組みや使い方を少しマニアックに掘り下げて解説します。
逆回転防止ベゼル（ダイビングベゼル）
ダイバーズウォッチに欠かせないのが逆回転防止ベゼル。経過時間を測るために一方向にしか回らない構造になっています。
万一誤って触れても潜水時間が短く表示される安全設計で、国際基準に適合した仕様です。 実用性だけでなく、ダイバーズ特有の力強い外観を演出する要素にもなっています。
両方向回転ベゼル
両方向に回せるベゼルは、航空時計や多目的スポーツウォッチでよく用いられます。
設定した目盛りを素早く合わせやすいのが特徴で、反面「安全性より利便性」を優先した設計といえます。
GMTベゼル
GMTベゼルは24時間表記を備え、第2タイムゾーンを表示できます。 バイカラーで昼夜を分けたデザインが多く、GMT針と組み合わせることで複数の時間帯を追えます。
機能性とともにデザインアイコンとしての存在感も大きいベゼルです。
インナー回転ベゼル
外周リングをガラス内側に設け、リュウズ操作で回転させる方式。 外部からの衝撃や水圧の影響を受けにくい構造です。
外観をすっきり見せながら機能性と防水性を両立する点で、航空・ダイバーズ双方で活躍します。
カウントダウンベゼル
経過時間計測ではなく、残り時間を把握するためのベゼル。 レガッタ（ヨットレース）のスタート管理など、特殊な用途で使用されます。
一般的には馴染みが薄いですが、マニアックな機能性として愛好家に支持されています。
回転計算尺ベゼル
外周リングに対数目盛りを刻み、掛け算・割り算・速度換算などを可能にするベゼルです。
デジタル機器普及前は航空時計の必須機能で、アナログ計算機能として活躍しました。
リングコマンドベゼル
ロレックスが開発した機械式インターフェース。 ベゼルを回すことでカレンダーやクロノグラフのモード切替が可能です。
見た目は通常の回転ベゼルですが、内部機構と連動する特殊構造を持ち、ハイコンプリケーションの一例といえます。
パルスメーターベゼル
医療従事者向けに用いられた脈拍計測用ベゼル。クロノグラフ秒針と組み合わせ、一定回数の心拍を数えて秒数を読むと、そのまま1分あたりの脈拍数を算出できます。
スポーツウォッチやドクターズウォッチに搭載されることがあり、機能以上にヴィンテージの雰囲気を楽しむ要素としても人気です。
テレメーターベゼル
光と音の時間差を利用して距離を測るベゼル。雷光と雷鳴の間隔や、砲撃の閃光と音の差を測定することで距離を換算できます。
軍用時計や戦場で活用された歴史があり、現代ではロマン要素の強い機能としてコレクターに人気です。
コンパスベゼル
方位を示す東西南北目盛りを持つベゼル。太陽の位置と時針を利用して簡易的に方角を割り出すことができます。
登山や冒険用途に便利で、アウトドア志向のモデルに搭載されることが多く、実用性と冒険心をくすぐるデザインを兼ね備えています。
Tips：
- ベゼルは「計測」「表示」「操作」のいずれかの目的で設計されることが多い。
- ダイバーズ＝逆回転防止、航空時計＝両方向／計算尺、GMT＝24時間表示など用途と直結する。
- ベゼルの構造はISO規格やブランド独自技術で工夫され、安全性や操作性が左右される。
- 実際に使うシーンが少なくても、デザイン要素として大きな存在感を持つ。
様々なベゼルデザイン
ベゼルは機能面だけでなく装飾性やブランドらしさを演出する重要な要素でもあります。 滑らかなものから彫刻や宝飾を施したものまで、素材や仕上げで多彩な表情を見せます。ここでは代表的なデザインを紹介します。
スムースベゼル
鏡面仕上げの滑らかなベゼル。シンプルでどんなシーンにも馴染みやすく、クラシックな雰囲気を持ちます。
フルーテッドベゼル
ギザギザ状の装飾を施した放射状デザイン。元は防水性向上のための実用デザインでしたが、現在はロレックスを象徴する意匠です。
エングレーブドベゼル
表面に刻印や彫刻を施したベゼル。ブランドロゴや数字が彫られることで、視認性と装飾性を兼ねます。
エンジンターンドベゼル
機械加工で幾何学模様を刻んだベゼル。規則的なパターンが光を反射し、控えめながら独特の個性を与えます。
バークベゼル
木の樹皮のようなテクスチャーを刻んだ装飾ベゼル。独特な質感がアンティーク感や温かみを演出します。
宝飾ベゼル
ダイヤモンドやサファイアなど宝石をセットした豪華なベゼル。高級感と華やかさが際立ちます。
カーボンベゼル
炭素繊維を素材にしたハイテクベゼル。軽量かつ強靭で、モダンスポーツモデルによく採用されます。
コインエッジベゼル
硬貨の縁のような細かいギザギザを持つベゼル。滑り止め効果があり、クラシカルな外観が魅力です。
セラミックベゼル
傷に強く退色しにくい現代的素材。光沢やマット仕上げなど多彩な表情を見せ、近年のスポーツモデルで標準装備化しています。
サファイアベゼル
透明または着色サファイアを使用したクリスタルベゼル。高級感と独特の発色を兼ね備え、限定モデルに多く見られます。
Tips：
- ベゼルは時計の第一印象を大きく左右するパーツ。
- 同じモデルでもスムース＝シンプル、フルーテッド＝華やかと印象がガラッと変わる。
- エンジンターンドやバークのような廃盤仕上げはコレクター人気が高い。
- 宝飾ベゼルやサファイア・セラミックは素材で個性を出すアプローチ。
- 機能ベゼルと違い、デザインベゼルはTPOやファッション性で選ぶのがポイント。
まとめ
腕時計のベゼルは、実用機能とデザイン性を兼ね備えた重要なパーツです。 種類ごとに計測・操作・表示といった機能を持ち、デザインごとにブランドらしさや装飾性を表現しています。
機能的なベゼルから装飾性の高いベゼルまで理解することで、時計を見る目が深まり、選ぶ楽しさも広がります。 あなたの一本にどんなベゼルが合うかを考えることは、時計選びの大きなポイントとなるでしょう。
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